海外ではわりと昔から使われていたカーリング剤“システアミン”これをちょっと紹介します。※既にご存知の方はスルーして下さい。
化粧品登録でダメージの少ないカーリング剤としてシステアミンが日本で発売されてから数年…歴史としては新しい還元剤で美容専門誌なんか見てると意外といいかげんだなぁ^^;と思ってしまう記事が目に付く…例えば
(1)化粧品登録なのでダメージが起きない。
(2)分子量が小さいので浸透が早い。
(3)酸リンス不要。
(4)手触りが良くない。
(5)ウェーブ効率が悪い。
技術者の方なら一度は聞いたことや、身に覚えのある事だと思います。
この辺りに関しては最近の美容専門誌なんかみると昔の記事と全然違う事が書いてあったりして^^;正しく内容が改正されてるって事で!!良いことなんですけど、中にはその当時の内容しか知らない美容師さんも意外と多いのもまた然り…なのでひとつずつ説明してみますね?
ケース(1)チオグリコール酸やシステインは医薬部外品登録でシステアミンは化粧品登録のカーリング剤だから髪は傷まない?そんなことはありません^^;
パーマは毛髪中の“S-S”シスチン結合にパーマ剤の還元剤が作用してウェーブ形成しますが、還元剤の何が作用するかというと…還元剤に含まれる“―SH基”いわゆるメルカプト基が“S-S”結合を切断…つまり還元剤の構造中に―SHが含まれればチオグリコール酸だろうがシステアミンだろうが酸化時に100%酸化できなければダメージはおきる!!
一応書いときます↓
・チオグリコール酸…HOOC-CH2-SH 分子量:92
・システイン…HOOC-CH(NH2)-CH2-SH 分子量:121
・システアミン…NH2-CH2CH2-SH 分子量:76
ね?化粧品登録だから傷まないって…そんなことないでしょ~^^;「酸性パーマで髪が傷まないパーマ」なんてのもたまに見かけるけど…スピエラ」使ってるのかな?確かにダメージ少ないけど確実に傷むよ?
ケース(2)システアミンの分子量はチオグリコール酸より小さいから浸透が早い…いやいや確かにシステアミンは…
・チオグリコール酸…HOOC-CH2-SH 分子量:92
・システアミン…NH2-CH2CH2-SH 分子量:76
他の還元剤に比べて小さいですよ、でもサロンワークで使用しているシステアミンは単体ではなく…
・システアミン塩酸塩…NH2-CH2CH2-SHーHCL 分子量:112
・システイン…HOOC-CH(NH2)-CH2-SH 分子量:121
塩酸塩がくっついていて、分子量はシステインとそんなに変わらんのです^^;
浸透効率が良いというのはシステアミンが酸性~中性だと脱プロトン化し、+帯電性が増し毛髪表面付近を還元する特性を持っているからです。そのため浸透効率が良く、pHをアルカリにふらなくてもが中性領域でウェーブ効率があまり変わらずに作れるからダメージが少なくてすむのです…間違ってたらごめんなさいね^^;もっとも大手美容メーカーのシステアミン配合カーリング剤の多くはpH8~9くらいのアルカリです^^;どうやってダメージが少ないのやら?根拠は?です。
ちなみにチオグリコール酸やシステインは親水性なのでアルカリにふってあげないと、髪の毛表面は疎水性ですから薬液が浸透せず撥じかれてウェーブ効率は…言うまでもありませんね。
ケース(3)酸リンス不要?…僕自身初めてディーラーさんに同行してきたメーカーさんにシステアミンを紹介された時「システアミンは化粧品登録のカーリング剤なんで酸リンスは要りません!!」って言われたのを良く覚えてます^^当時「そ、そんなハイテクな還元剤が!!」って驚きました^^;
でも、あんまりに疑問だったので次の瞬間聞いてしまった…
僕:「pHいくつ?」
メーカー:「はい、約8.5位です。」
僕:「2剤は何?」
メーカー:「ブロム酸です。」
僕:「?…なんで酸リンス要らないんですか?」
メーカー:「化粧品登録のカーリング剤だからです!!」
僕:「?????」
確かに化粧品登録だから2剤に過酸化水素は薬事法的に不味いとして…アルカリにふった状態にブロム酸塗布しても酸化不足起こしますよ^^?ブロム酸の特性上、酸性領域でないと上手く酸化しないし…酸化不足により後日システイン酸増加でゴワゴワになっちゃうよ?
…化粧品登録であってもアルカリにふった以上は、酸リンスは絶対に必要です!!
ケース(4)手触りがよくないってよく聞きますね!!キシキシとか?ゴワゴワとか?硬くなるとか?でもコレってはっきりいってシステアミン全然悪くないの^^システアミンの独特のメルカプタン臭を抑えるためにメーカーが香料を入れ過ぎてしまったのが原因!!
香料を加えた分、乳化させる為にそれ以上の界面活性剤が必要になります…ということは香料の香りが強ければ強いほどメルカプタン臭は誤魔化せるけど、活性剤が多くなればなるほど毛髪中の油分が抜けやすくなり髪は硬くパサついてきます。
香料や各種PPT、シリコンなど本来の還元剤を減力するものを配合しなければシステアミンの仕上がりは…
“しっかりとしたリッジに独特の柔らかいカールが形成されます♪”
まぁ、原料から扱えるからこそ出来る事なんですけどね^^;オススメのシステアミンですか?…それは後ほど。
ケース(5)ウェーブ効率が弱い?本当に?…システアミンは感作性の問題で自主規制があって確かシステアミン濃度は2%未満だったかな?チオグリコール酸は最大7%なわけだけど、チオグリコール酸に比べれば全然濃度が薄かったんです。そりゃ2段階ロッドのサイズ落をとさなければ上手くかかりませんよね^^;
でも最近はカーリング剤の自主規制が無くなってきたからそんな事は無いかも^^;チオ換算で同等の7%まで配合可能になったしね♪
システアミン濃度7%でかけるとチオグリコール酸よりもウェーブ効率は良い!!しかもpHが中性領域にあってもアルカリ領域のチオグリコール酸に遜色の無いウェーブ効率☆
今回も長文にお付き合いありがとうございます!!簡単にまとめるとシステアミンはチオグリコール酸並にウェーブ効率が良く、中性領域ならダメージも少ない!!です。
例えば…
アルカリ剤無しで中性の、システアミン濃度7%で、減力してしまう様な各種PPT無配合…こんな還元剤あったら理想じゃないですか?
アンモニアやアルギニンでお好みのpHコントロール、技術者の判断で各種PPTを用事調整できます!!
こんなのがあったらね~…こんなのが!!作っちゃう?作っちゃえば早いよね?ね?
ってことでWECO BASEから早ければ年末に完成します!!
今現在シャンプーや各種高機能PPT処理剤などを開発中なので予定が前後するかもしれませんが^^;
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