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《愛知県シネシネ団のS・Hさん》からクリープパーマ理論とクリープパーマに相性の良いPPT処理剤に関するリクエストで、前回はPPT処理剤について書きました。
なぜPPT処理剤の特徴を先に書いたかというと…説明が簡単だから!!使えばわかるし^^;だけどクリープ理論は簡単だけど難しい…地球はなぜ回転するの?ってくらい説明が簡単で難しい!!
なので始めに簡単な手順を書いてから、後半ネチネチと理論を書いてみます。
一剤はアルカリ還元剤で5~10以内で還元終了→→→中間水洗→→→CMC、ケラチンPPT塗布→→→湿熱加温(クリープ)→→→バッファ→→→2剤で酸化処理☆
上記の手順でクリープパーマは簡単に出来てしまう…けれど1つ1つの工程に幾つかの注意点があるので、各工程で起きている毛髪内部の状態に注意点を交えて書いてみます。
まず始めに、《一剤はアルカリ還元剤で5~10以内で還元終了》…必ずpHはアルカリ領域の還元剤を使用!!クリープはアルカリ領域で毛髪を膨潤させた状態を利用するので、オススメはハードタイプのチオグリコール酸!!長時間低アルカリの還元剤を毛髪にさらしてるよりも、チオグリコール酸ハードタイプの薬剤で短時間還元したほうが毛髪へ与えるダメージは少ないですしね^^;
《5~10分で還元終了》…5分経過でテストカールします。通常のパーマと違いクリープさせる事によってウェーブ効率を上げるので60~70%程度の還元度合いで充分!!
また、還元させすぎると毛髪自体が疎水性から親水化が進み弾性が分刻みでどんどん低下しますので根本的に疎水性ケラチンの弾性を利用するクリープパーマの理論が難しくなります。こうなったらただのパーマですよね?
さらにハードタイプの還元剤は平均的にpHが約9前後と高いので10分以内に終了させないとCMCの破壊が…ダメージ原因がアルカリなら中性や酸性タイプの還元剤を使えばいいのですが、これではクリープは…無理!!
《中間水洗》…一番初めに書きましたがクリープパーマはアルカリによる膨潤を利用するものなので^^;毛髪内部がアルカリによって膨潤した状態から中間水洗することによってアルカリ剤や還元剤を毛髪内部から抜き取ります。さらにアルカリと水の浸透圧を利用して水膨潤をさせます…コレ重要!!
ここまでを要約するとチオグリコール酸ハードタイプの薬剤で短時間で親水性部分を還元し、中間水洗によりさらに水膨潤させることによって次の工程クリープ(変形、ずらす)をさせやすい状態にします。
《CMC、ケラチンPPT塗布→→→湿熱加温》…先ほどまではクリープさせる為の準備です。ここからがクリープさせていくことになるのですが…中間水洗後、毛髪内部は還元状態になっています…この時点でもうクリープ(歪み、変形、ずれる)は始まっています^^
還元剤で“S-S”から“SH-HS”の還元状態にしました…でも60~70%までしか還元していません…ちなみに毛髪内部では“S-S結合”以外の“イオン結合”“水素結合”も切断されて、安定したαへリックス構造から不安定なβランダム構造へと立体構造が変化しています。
この時ロットに巻かれた毛髪内部の分子内に歪みが生じた状態を放って置くと還元されたSH基がまだ還元されてない“S-S結合”に還元作用し、分子内の歪みを解消します。還元したことによって新たにできたSH基は連鎖反応を起こし次々と切断を繰り返します。
これを“SS/SH交換反応”と呼ぶのですが身近なとこではアレです…パン生地って捏ねたあと寝かせますよね?小麦のタンパク質グルテンも同じ交換反応で寝かすという工程でモチモチ感を出します♪超熟パンパーマではなく…クリープパーマも同じです^^;
このSS/SH交換反応をさせることで不安定なβランダム構造から安定したβシート構造へ変化するときに…ミクロフィブリルケラチンとマトリックスケラチンが並行状態になると分子間に側鎖結合ができます。これによって弾力のあるモチモチっとした状態へ変化が起きます。簡単に言えば“イオン結合”“水素結合”“疎水結合”の再配列ですね^^
ここまでがクリープパーマの本質《クリープ(変形)》させるということですね!!これをさらに効率よくするには毛髪内部の分子間をクリープ(ずれる)させやすい状態にすれば良いのです…そこでCMCの登場です^^v
《CMC、ケラチンPPT塗布→→→湿熱加温》…傷んだ毛髪はラメラ結晶が破壊もしくは低下してます…つまりCMCを補給しなければクリープ(ずれる)させるのが難しくなりますので補給します。
また、傷んだ毛髪内部は還元剤で“S-S結合”を切った時点でケラチンが少なからず流出してますので補給します。前回のブログで書いた通り相性の良いPPT処理剤は解りますよね?詳しくはこちらを参照して下さい→理論武装最前線~化学修飾~
疎水性の強い分子量20000以上の高分子ケラチン!!特にクリープパーマはCMCを併用するためアルキル化したものが非常に相性が良いです^^また分子量が20000以下になると親水性寄りになる為パーマがダレる可能性があり非効率的^^;コラーゲンなんてもってのほかです!!
《CMC、ケラチンPPT塗布→→→湿熱加温》…CMCとケラチンPPTを塗布したら湿熱加温をします…この時は温度に気をつけましょう!!ラメラ結晶は40~50℃付近になると結晶性を保てなくなり粘度が低下します。この粘性低下状態が一番効率良くクリープさせることができるのですが、あまり温度が高すぎるとかえってCMCの流出が多くなり仕上がりはパサパサします。
ローラーボールで湿熱加温する場合は蒸したタオルで包み、さらにラップで包んだ状態で40~50℃を保てる設定温度で固定します。パルッキーは40cm程離した距離が約40℃前後です!!
「直本工業のパルッキーでなければクリープパーマは出来ない?」とよく聞かれますが…湿熱状態が保てれば何でも良いです♪CMCは40~50℃で融点に達するので^^;ただWECO BASEでは使いやすいってだけでパルッキーを使用してますけどね。
話は戻りますが、CMCとケラチンPPTを塗布後湿熱加温する事によって効率よくクリープ(SS/SH交換反応)させます。βランダム構造からβシート構造に安定してくると、ロットに巻かれた毛質が触るとモチモチするのが解ります^^そしたら次の工程に移ります。
《バッファ→→→2剤で酸化処理》…酸リンスや2剤はウォーマトロン?でお客様が冷たい思いをしないように温めてあるのですが…クリープ直後は常温の冷たい酸リンスを塗布します。βシート構造に安定してますが…酸と冷水によって効率よくギュッと収斂させ、内部をさらに安定状態にして2剤処理をする為です☆
2剤塗布…これで終了です^^
そもそも何故クリープパーマが必要な技術なのでしょうか?正直、手間が掛かるから面倒臭いですよね?それでも必要なのです!!それは既存のパーマでは2剤の酸化不足が原因だからです^^;…通常のコールドパーマの様にしっかりと還元した場合S-S結合の再結合率は約80%前後です。
残りの約20%のSH残基といえば後日どうなるでしょう?…システイン酸になってごわついたり…仮にアルカリ剤が除去しきれずに残留してたらランチオニンや混合ジスルフィド結合が生成されて次回以降のパーマがかかり難くなったり?
…それはちょっとマズイですよね?
なので毛髪自体の内部構造をクリープ(変形、ずらす)させることによって共有結合以外の二次的結合力を高める事で残りの約20%のSH残基を減らすのです。
今から約60年前のクリープ理論はウェーブ保持が目的でした…現在のクリープ理論はウェーブ効率の上昇に加え、毛髪のダメージ軽減又は補修が目的だと思います。
今日も長々と読んで頂きましてありがとうございます!!
愛知県シネシネ団のS・Hさん…リクエストのクリープパーマ理論はこんな感じでよろしいでしょうか?
僕自身いろいろと毛髪に関する様々なデータを取ったり試行錯誤しながら研究し、解らない時は大手メーカーさんの文献を拝見させて貰いながら紡ぎ出した途中結果のクリープパーマ理論なのでハッキリ言ってとても不完全な理論です^^;たぶんメーカーさんが公表しているクリープパーマ理論とは違うと思いますし、きっと何かもっと良い方法はあると思います!!
また、これからも新しい理論が次々と出てくると思いますので、上記のクリープパーマ理論はあくまで数ある中のひとつと思って下さい。
※僕がクリープ時によく使用する処理剤…参考にしてみて下さい。
・ケラチン系(アルキル化高分子γ型ケラチン、アルキル化高分子α型ケラチン、φ型ケラチン)
・CMC系(セラミド、ペリセア)
・NMF系(尿素、アルギニン、リシン、ヒスチジン)
・他(シルク、ヘマチン、キトサン、18MEA)
濃度・配合比率は髪質に合わせて調節して下さい^^;
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