軟化チェックが曖昧な理由|膨潤・架橋密度・アイロン熱を深く読み解く
縮毛矯正の一次膨潤はカルボキシ基のイオン化によるドナン浸透圧、二次膨潤はSS結合の切断による架橋密度の低下で決まります。
軟化チェックの曖昧さの根っこ、アイロン熱で起きる交換反応と中間水洗の意味まで…
アルカリで毛髪内のカルボキシ基がCOO⁻にイオン化すると毛髪内部に固定電荷が増えます。
電気的中性を保つためにカウンターイオンが入りそれに引っ張られて水が浸入します
これを一次膨潤といいます。
膨潤が「長さではなく太さ」に出るのは中間径フィラメントが毛髪の長軸方向に並んでいるためで膨らむ余地が径方向にしかないからです。
太さで約14%という膨潤は、この段階の話です。
網目構造の膨潤度は架橋密度と逆相関します。
還元でSS結合が切れるほど網目が緩み平衡膨潤度が上がります。
これが二次膨潤といわれます。
この二次膨潤の大きさは還元率の間接的な指標にもなり得ます。
ただ一次膨潤と分離して観察できないのが現場の難しさで💦
「膨らんできた=還元が進んだ」とも「=アルカリが強いだけ」とも言い切れません。
ここが軟化チェックの曖昧さの根っこかな?と考えています。
最近SNSの軟化チェック解説をみていると癖が櫛で取れてOKというのを見かけます。
これ実は…マトリックスが流動し応力緩和が起きている状態です。
裏を返せばその時点ではSS結合の切断も相当進んでいます。
そこから先アイロン工程でも反応は止まりません。
小川博士らの論文では加熱段階の反応は2つが想定されています。
ただし180℃アイロン実験では熱段階だけで1/2シスチン量の有意な増加は確認されず、②は誤差範囲という結果でした
が、ミックスジスルフィドが加熱でSS結合に変わる条件を「100℃数秒」という論文もあります。
実務的な含みは中間水洗で還元剤濃度をどこまで落としたか?であって
アイロン熱が「組み直しの熱」になるのか?「還元を進める熱」になるのか?に変わります。
なので「アイロン熱でも還元が進むので、櫛チェック基準だと過還元に寄りやすい」という言い方をしています。
Q. 二次膨潤はどうやって見分けますか?
A. 一次膨潤と分離して観察する手段は現場にはありません。だからこそ、軟化と膨潤を「還元そのもの」と同一視しないことが大事になります。
Q. アイロン熱でSS結合は増えるのですか?
A. 条件次第です。還元剤濃度が低い状態では①の経路があり得ますが、180℃の実験では熱単独の増加は誤差範囲でした。中間水洗の設計が前提になります。
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